Tレグ細胞とは制御性T細胞のこと。
(イメージ図)
Tレグは過剰に働く防御反応(つまりはアレルギー)を抑制する作用があり、このTレグ細胞が新しい、そして画期的なアレルギーの根本治療に役立つ細胞として注目されています。
Tレグ細胞が体内に多い人々
アメリカのアーミッシュと呼ばれる人々は、宗教的な理由などで電化機器のほとんどない昔ながらの生活をしているのですが、彼らはアレルギーをほとんど持っていません。
理由は昔から自給自足の生活をしてきたから。彼らは牧畜とともに暮らしていくことで様々な細菌類に触れます。この環境が体内の「ある細胞」を増加させていたのです。
それがTレグ細胞です。
裏付ける調査をするため、別の地域で家畜とともに過ごしている家族の血液を調べてみると、同様にTレグ細胞が多いことがわかりました。
Tレグ細胞の役割
アレルギーとは、そもそも攻撃する必要がない物質であるにもかかわらず対象を必要以上に攻撃することで起こります。
過剰な防御反応が『アレルギー』なのですが、この過剰な防御反応を抑える働きをするのがTレグ細胞なのです。
攻撃細胞を抑制する役割ですね。
つまり、Tレグ細胞がアレルギーになるかどうかの決めてなのです。
Tレグ細胞が多ければ攻撃細胞を抑え込めるため、アレルギーになりにくい。
Tレグ細胞が少なければ攻撃細胞を押さえ込めないため、アレルギーになりやすい。
Tレグ細胞は、各アレルゲン専門のTレグ細胞となります。例えば、玉子専門のTレグ細胞、ピーナッツ専門のTレグ細胞、大豆専門のTレグ細胞という具合です。
日本人にアレルギーが多い理由
日本人にアレルギーが多い理由は、「キレイすぎる」から。今では日本人の3人に一人が何らかのアレルギーを持っていることがわかっています。
反対に昔から雑菌に触れている生活をしていると、Tレグ細胞が体内で増えやすくなるのだとか。1970年代以前の人はアレルギーが少なかったのもこれが原因だそうです。
小さい頃からアレルギーの原因物質(アレルゲン)を必要以上に避け続けると、少しのアレルゲンが体内に入っただけでも攻撃細胞が過敏に反応して、重大なアレルギーを発症してしまいやすくなるのです。
最近の日本では、小さい頃にアレルゲンを少しずつ与えることで体に慣らす『脱感作療法』を行う小児科が増えています。
※危険を回避するため、脱感作療法は必ず病院で行ってください!これは必ずです!
※Tレグ細胞はアレルゲンを食べることで予防できますが、すでにアレルギーになっている方はアレルゲンを避けるようにしてください。
食べると予防 だけど・・・
Tレグ細胞はアレルゲンを少しずつ摂取することで予防できます。
しかし、皮膚からアレルゲンが入ると攻撃細胞が過剰に刺激されて強いアレルギーを発症してしまいます。特に炎症を起こしている部分は要注意!
湿疹などがある人はアレルゲンが体内に直接入りやすくなります。アレルゲンのない保湿クリームなどを使って皮膚のバリアを強化するようにしましょう。
Tレグ細胞を増やす画期的な方法
花粉症を治す治療法として『舌下免疫療法』が知られていますが、この治療方法も体内に少しずつアレルゲンを入れて体を慣らす脱感作療法の一つです。
体内のTレグ細胞を少しずつ増やす治療方法です。
しかしこの治療方法は安全性を高めているため、効果が出るまでに何年もかかってしまいます。
花粉症緩和米のすごい効果!
これに変わる方法が「花粉症緩和米」です。花粉症緩和米は危険なアレルギーを引き起こす細胞部分を抜き取り、花粉に対するTレグ細胞だけを増やす治療方法で、舌下免疫療法よりも効果が早く出ます。
どれくらい早く効果が出るかというと・・・、なんと二ヶ月!これはすごい!
二ヶ月のあいだ花粉症緩和米を食べ続けることで、攻撃細胞を抑えることができる必要数のTレグ細胞が増加するのです。
「花粉症緩和米」の販売は2020年を目標に、現在臨床試験が進められています。
また、こちらも臨床試験の段階ではありますが、他のアレルギーに対しても注射によってアレルギーを治す方法も研究されています。
こちらも同様に、アレルギーを引き起こす細胞部分を抜き取ったとても安全な治療方法で、短期間でTレグ細胞が増加する治療方法です。
Tレグ細胞増加でアレルギーを根治!のまとめ
このように、Tレグ細胞を活用したアレルギーの根治療法は今後さらに増加していくと思われます。
花粉症、猫アレルギー、食物アレルギーなどなど、この世にアレルギーはたくさん存在します。中には死に至るアレルギーもあります。
一刻も早い根治療法の確立を願うばかりです。