ゲノム編集と遺伝子組換えの違い

クローズアップ現代でも紹介された新しい遺伝子編集技術『ゲノム編集』。





遺伝子を操作して家畜の肉の量を増やしたり作物を腐りにくくしたりする技術で、すでに実用化の段階に入っています。病気の治療にもゲノム編集技術が活用され始めました。


では『ゲノム編集』は、これまでにもあった遺伝子組換えと何が違うのでしょうか。まとめてみました。

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ゲノムと遺伝子とDNAについて

ゲノム編集と遺伝子組換えの違いを知るためには、まず遺伝子とDNAの違いについて知る必要があります。

遺伝子について


まずは遺伝子とDNAの違いについてです。遺伝子とDNAは混同されることが多いですが、実際には同じ意味ではありません


人間に限らず生物はすべてDNAを持っています。でも例えば、人間と鳥は形が違いますよね?


人間と鳥のそれぞれを形作り、その形を維持し続けていられるのは、それぞれの設計図を体の中に持っているからです。


この設計図のことを『遺伝子』と呼びます。鳥と人間の違いは『遺伝子』が大きく違うからです。


そして同じ人間同士でも姿形が違うのは、遺伝子(設計図)が微妙に異なるから。


家族同士が似ているのは遺伝子(設計図)が似ているからなんですね。

DNAについて


遺伝子はすでにお話したとおり、体を形作るための『設計図』のことです。そして設計図は、様々な部位の設計図にわかれています。

鼻の形を決定する遺伝子(設計図)は・・・
丸い鼻、通った鼻、鷲鼻、小さい鼻


髪の色を決定する遺伝子(設計図)は・・・
茶色、赤色、黒、金色


筋肉の構成を決定する遺伝子(設計図)は・・・
筋肉が付きやすい、筋繊維が細い


肺の機能を決定する遺伝子(設計図)は・・・
肺が強い、肺のキャパが少ない


肌の色を決定する遺伝子(設計図)は・・・
白人、黒人、黄色人



などなど・・・


これらの遺伝子情報がまとまって一つの鎖状になっているのがDNAです。人間は約三万種類ある様々な部位別の遺伝子(設計図)の情報を、一本の鎖(DNA)の中に並べて保存しています。

ゲノムについて


DNAは染色体というものに巻き付いて細胞の中に存在しているのですが、人間の染色体は46本あり、この46本の染色体が一つの細胞の中に存在しています。


ゲノムというのは遺伝子(gene)と染色体(chromosome)という言葉から合成された言葉です。


そしてゲノムとは、すべての遺伝子情報(つまりはDNA)と染色体を含む【遺伝情報(個々の遺伝子の情報ではなく、すべての情報!)】のことを言います。

ゲノム編集とは?


ゲノム編集とは、ゲノムを編集するという意味です。(そのまんま!)


ゲノムとは【遺伝情報】のことですから、ゲノム編集とは・・・

遺伝情報の中から特定の遺伝子を指定して、その遺伝子の情報を操作することを言います。



つまり、一部の遺伝子の情報を変えることをゲノム編集と言います。

ゲノム編集の遺伝子組換えの違い


ゲノム編集も遺伝子組換えも『遺伝子を操作する』という意味では同じです。


しかし決定的に違う点があります。

ゲノム編集は・・・
特定の遺伝子を指定してその遺伝子の情報をピンポイントに操作


遺伝子組換えは・・
特定の遺伝子を指定したいが、ピンポイントに遺伝子を組み込めない



ゲノム編集は遺伝子操作がピンポイントに行える技術なのですが、遺伝子組換えは狙った遺伝子の組み換えをピンポイントに行えない(運任せである)技術なのです。


ゲノム編集の技術は、これまでの遺伝子組換え技術が格段に進歩した、(実験成功への)安全性や確実性が飛躍的に向上した技術なのです。

ゲノム編集が病気を治す!


ゲノム編集は狙った遺伝子を編集することができるため、HIV ウイルスを駆逐する遺伝子情報を組み込んだり、がん遺伝子を攻撃する遺伝子情報を組み込んだりすることができるようになりました。


実際アメリカでは、ゲノム編集によって病気を改善させる治験で効果が上がっています。


特にゲノム編集は、遺伝子異常が引き起こす病気『遺伝子疾患』の治療に大きな効果が見込まれています。


家畜や作物だけでなく、病気の治療にまで大きな期待が寄せられているのがゲノム編集技術なのです。

『ゲノム編集と遺伝子組換えの違い』のまとめ


クローズアップ現代をはじめ、数々のメディアで取り上げられているゲノム編集ですが、『倫理』という観点からルール作りが必要であると言われています。


ゲノム編集技術は簡単に遺伝子情報を操作できる技術であるため、人の受精卵も簡単に操作することが可能です。


中国ではゲノム編集技術によって受精卵を操作するという試験が行われたのですが、この中国の行動に対し、非常に多くの研究者や団体が倫理的問題を指摘しています。


ただ、ゲノム編集技術が今後、人間にとって大きな利益をもたらすのは間違いありません。大きなメリットとデメリット、どちらとも内包するのがゲノム編集技術なのです。


ゲノム編集は『命』を形作る遺伝子を操作する技術でもあるため、早急なルール作りが必要になります。


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