超高齢化社会に突入した日本。それだけに『介護』はとても大きな事案になっています。
しかし、介護をする人は少ないのが現状。介護職についてもやめていく人が後を絶ちません。その理由の一つに『腰痛』が上げられます。
そういった中新しい介護のやり方が注目されています。それが『ノーリフト介護』です。
腰痛の多い介護の現状
通常介護をする上で欠かせないのが被介護者の移動です。
介護する側は被介護者を移動させるさいに、抱え上げたり持ち上げたりします。
被介護者の介護レベルにもよりますが、多い人で一日30回以上移動することも。
介護する側はそのたびに被介護者を持ち上げなければなりません。
そのため腰痛を感じる人が非常に多いのです。
ノーリフト介護とは?
ノーリフト介護とは、その名の通り「持ち上げない介護」のことです。
『持ち上げることで腰痛があるのなら持ち上げなければいい(ノーリフト)』
この考え方から生まれたのがノーリフト介護です。
ノーリフト介護はオーストラリアで導入されている新しい介護の方法です。
ノーリフト介護その1
腰痛にならないように体全体を使う
基本的に腰痛になりやすい人は、普段から腰だけ、上半身の力だけで物を持ち上げる動作をする人が多いです。
腰に負担をかけないよう体を動かし、被介護者を持ち上げるように動作を変えるのがノーリフト介護のポイントその1になります。
ノーリフト介護その2
福祉用具の積極的活用
例えば電動ベッド。テレビを見たり食事をするときに電動ベッドの背もたれを持ち上げることが多いです。
この機能を移動の際に使うことで、被介護者の上半身を持ち上げるという動作が解消されます。
すると移動のために持ち上げる行程が半分になり、腰への負担が少なくなります。
福祉用具の活用もノーリフト介護に使えます。
ノーリフト介護その3
滑りやすい布体の下に敷く
これまでは、ベッド上で被介護者の体を動かす(ずらす)時もいちいち持ち上げて体を移動していました。
しかし、体の下に滑りやすい布を敷いておくことで、ベッド上での被介護者の体の移動(ずらし)が楽に行います。
車椅子上での体のずらしにも使えます。これもノーリフト介護のポイントです。
ノーリフト介護の利点
あまり知られていないことですが、被介護者は抱え上げられる際に力を入れて身構えてしまうそうです。
そのため、全身のこわばりが進んでしまうのだとか。
確かに想像してみると、人の力だけで持ち上げられるというのは、その人に安全のすべて託すということになるため、少なからず恐怖心は抱きますよね(;^ω^)
これが体のこわばりに繋がるのです。
ノーリフト介護で体の機能が回復?
半年余り抱え上げをやめたことで身体の緊張が解けたため、わずかな手助けだけで自力で体を支えられるようになり、まっすぐ座れるまでに回復された方もいるそうです。
ノーリフト介護は、介護する側にも受ける側にも大きなメリットがあるのです。
『ノーリフト介護で腰痛を防ぐ!』のまとめ
これまでは『抱え上げる介護』が常識でしたが、これからは『抱え上げないノーリフト介護』が主流になるでしょう。
介護する側も受ける側もいかに楽にして行うかが『継続するため』に非常に重要です。
ケアの向上にも繋がるノーリフト介護。今後さらに推進されていくことでしょう。